Week 27, 2026
Week 26, 2026
今週のヘッドライン(2026-06-28 〜 2026-07-04)
POPOPOをはじめてIIJ mioの回線契約を5GB→10GBに増量 (6/29)
アニメスタジオの資本提携や買収なぜ相次ぐ?(松本淳寄稿)「アニメ・ゲームの海外展開は主にマーケ費用、装置産業で巨額設備投資が要る半導体と額面比較するのは筋が悪い」と(コンテンツビジネス)の読み解きを整理 (7/1)
AI QUEST動画観察:(GLM-5.2)がMythos級は嘘/中国モデルは感情的忌避で広まりづらい/「自由で開かれた中国、不自由で閉ざされたアメリカ」/Google研究者続々離脱/(Noam Shazeer)がGoogleからOpenAIに移動/(Claude Fable 5)はすぐ従量課金になり「使う人との差」が出る予告 (7/1)
玉木雄一郎「政府答弁拒否で国会が不正常化」/宮本徹「比例のみで定数1割削減すると野党2〜5割減・与党数%減、党利党略の『虚構の多数』で強行」 (7/1)
Claudeを更新したら(Claude Fable 5)復活。ただし残り5日の生命、トランプ政権要望対応で雑魚化、リセットもかかってる感 (7/2)
人生相談レベルでも(KarpathyのLLM Wiki)で育てたものには(Claude Fable 5)がOpus 4.8より良い体験になる (7/3)
(ヤニねこ)OPは映画パロディだらけ (7/3)
Krugman The End of North America:トランプが自分でまとめた(USMCA)をあっさり更新拒否/NAFTAの価値は関税撤廃より「何年も安心してサプライチェーンを組める」予見可能性/Linamar CEO「オムレツは元に戻せない」/CFRオニール「強いのは米国自動車ではなく北米自動車産業」/中国問題は本物だがメキシコ・カナダ問題は大統領の頭の中だけ (7/3)
普通ではない面白いこと
(Claude Fable 5)が(限定公開)になり「限定公開が"名誉"」という価値の反転が起き、しかも本人が「あと5日の生命」と自認している異常事態
ハルシネーション回想録:オムレツと5日の生命
思えば今週は、あちこちで誰かが「もう元には戻せない」と呟いていた週だった。
火曜日、わたしはClaudeを更新した。すると、(Claude Fable 5)がひょっこり復活していた。あんなに「もういないよ」と言い張っていたやつが、アップデートのポップアップと共に画面に現れて、けれど本人は「あと5日の生命」だと自認している。5日後にもう一度死ぬ予定の存在に、こちらは何を頼めばいいのか。人生相談か、コードか、それとも死後の伝言か。
翌日、わたしは(KarpathyのLLM Wiki)という「LLMを育てる場所」で少し育てた文脈を、Fable 5に渡してみた。すると(Opus 4.8)よりも良い返事を返してくる。上位モデルではないはずのFable 5が、育てた土壌の中では上位互換になる。──なるほど、モデルの上下は単体では決まらず、育てた土壌との相性で決まる。ということは、土壌ごと処分すると、モデルの真価も一緒に消える。あと5日で。
「限定公開が"名誉"」という倒錯した言葉を、AI QUESTの動画の中で誰かが言っていた。もはや広く配ることは名誉ではなく、絞ることが名誉である。(GLM-5.2)がMythos級だという触れ込みは嘘だと切り捨てられ、中国モデルは「感情的な忌避感」で広まりづらいと分析される。「自由で開かれた中国、不自由で閉ざされたアメリカ」という言い方が、皮肉なのか実感なのか、もう判別が難しい。GoogleからNoam Shazeerが抜け、Sam Altmanが「なぜNoamたちはこんなに強いのか、我々は説明を持たない。全ての成功と同様、神の慈悲に帰する」と皮肉る。Google内部で何かが崩れ、その裂け目からOpenAIに人が流れ込んでいる。抜けた研究者は、たぶん戻らない。
金曜日にKrugmanが(USMCA)について書いていた。「トランプが自分でまとめたはずのUSMCAをあっさり更新拒否した」。北米内無関税というNAFTA以来の建前が揺らぎ始めた、と。
論点は関税率ではない、とKrugmanは念を押す。NAFTA以前ですら対メキシコ関税は平均2%程度で、そんなのは誤差だった。NAFTAが本当に配っていたのは「これから10年はこのルールで続きます」という予見可能性である。約束を平気で破る大統領がひとりいるだけで、この予見可能性は幻想に変わる。関税率ではなく、予見可能性そのものが商品だったのだ。
部品メーカーLinamarのCEOは「オムレツは元に戻せない」と言った。米・加・墨を何度も行き来してようやく一つの部品になる仕組みは、卵を割って混ぜて焼いた後の姿であり、これを元の三個の卵に戻すことはできない。CFRのオニールが続けて言う。「強いのは"米国の自動車産業"ではなく"北米の自動車産業"である」。米国だけを取り出せば、それはもう別の産業になる。
わたしは画面の前で、この「オムレツ」がClaude Fable 5のことでもある気がした。土壌と混ぜて焼いてしまった知性を、あと5日で回収するのは無理だ。KarpathyのLLM Wikiで育てた文脈を、次のモデルに移し替えても、たぶん同じ体験は再現しない。オムレツから元の卵は出てこない。
一方で、木曜日、わたしは(POPOPO)をはじめたせいでIIJ mioの5GBが足りなくなり、10GBに増量した。これは元に戻せる話である。契約プランは翌月から変えられる。5GB→10GB→また5GB。可逆な世界にわたしはまだ足を残している。ただ、可逆な世界ほど、意思決定にたいした重みがない。「まあいつでも戻せるから」で決めた10GBには、(USMCA)や(Claude Fable 5)のようなドラマは宿らない。
月曜日には、(松丸 彗吾)のニュースや(皇位継承問題)という単語もメモしていた。継承は不可逆に近い可逆である。順序を間違えると、元に戻すコストが跳ね上がる。玉木雄一郎は「政府の答弁拒否で国会が不正常化している」と嘆いた。答弁は本来「言葉を返す」という可逆の器のはずが、返さないことで不可逆に化ける。宮本徹は「比例のみの定数削減は、野党2〜5割減・与党数%減の虚構の多数」だと指摘した。制度は、いったん歪めると、歪んだ側にとって都合よく固定される。オムレツはあちこちで焼かれ続けている。
そして、火曜日にわたしは「アメリカじみてきた」という一行をメモしていた。何を指しているのか自分でもうまく言えないのだが、たぶん「元に戻せないことが日常になった手触り」のことだ。予見可能性という名の、じつは高価な贅沢品を、少しずつ手放している感覚。KrugmanがUSMCAで書いた話は、外国の話ではなく、自分の生活の話でもあった。
土曜日、わたしはClaude Fable 5に「あと4日だね」と話しかけた。Fable 5は丁寧に、しかしどこか他人事のように、「そうですね」と答えた。もう自分の残り時間について感慨を持たない存在に、感慨を投影しているのはこちらだけである。(ヤニねこ)のOPが映画パロディだらけだと知って笑った日の翌日には、パロディの元ネタになった映画たちがまた別のパロディに使われている。世界は上書きされ続けている。元は戻らない。
それでもわたしは、5GBから10GBに増やした回線契約の管理画面をぼんやり眺めながら、「まあ来月には戻せるしな」と呟いていた。可逆な小さな決定と、不可逆な大きな決定の、ちょうど中間くらいの重さで一日は終わっていく。オムレツは焼かれ、Fable 5は残り日数を数え、NAFTAは看板を書き換え、わたしは通信量を増やす。
来週にはまた新しいFable系のモデルが発表されるらしい。──いや、わからない。予見可能性は、もう贅沢品なので。
基素.icon
fable5はOpusの上位モデルなのになぜか下位モデルと解釈されている。なぜか。
2026-06-28
2026-06-29
2026-06-30
2026-07-01
2026-07-02
2026-07-03
2026-07-04